ペット紛争に関する法的諸問題
行政書士ADRセミナー
ペット訴訟を専門にしている弁護士が講師だったので、楽しみに参加しました。13:30~18:30という長時間(2回休憩)が、いつものように眠ることもなく、あっという間にすぎました。内容は、講師自身が担当した判例解説からペット条例のポイント説明までとても幅広かったのですが、ペット紛争で注意しなければならない心得などが随所にあって参考になりました。特に、弁護士の口から「ペット訴訟は弁護士費用などを考えるとあまりすすめられないので、できるだけ話合いによる解決が望ましい」と聞いたことが心に残りました。
ペットは、法律上は物です。ドイツでは、物に準じた扱いとされていて、憲法でも動物愛護の精神が謳ってあるそうです。日本で最初の判例としては、明治45年交通事故による被害犬の購入金額500円が認められています。慰謝料については、ようやく昭和30年代になって認められはじめたようです。その額も、講師が担当した医療過誤裁判では、60万円まで認められるようになってきました。ただ、裁判官によって、ペットについての考え方がまちまちなので、訴訟すれば必ず勝てるとはいいきれないそうです。ペットへの愛情の度合を金銭で算定するのはなかなか難しいのでしょう。
動物占有者責任(民法718条)の飼い主の免責については、大正2年に判例が1件あるだけです。免責は認めないで、過失相殺で調整しているようです。たとえば、犬同士の喧嘩を止めようとして噛まれた原告と前にも人を噛んだことのある犬のリードを放して喧嘩をさせた被告に対して、原告6割、被告4割の過失とされた判例があります。この場合は、原告が犬にリードをつけないでいたからです。このとき、原告の犬は、その喧嘩には加わっていなかったのですが、そう判断されました。
意外だったのは、ペットショップとのトラブルて裁判になった例は少ないことです。不特定物売買か、特定物売買かという法律上の問題もありますが、買主がいかに納得するかという問題だからでしょう。ペットへの愛情がでる前なので、冷静な話合いで解決ができるからかもしれません。また、外国のように、店頭で衝動買いをさせないために、ペットの店頭売りを廃止する方向で検討もしているようです。
獣医療過誤は、昭和40年代から判例があり、ここ数年増えています。最近の多摩地区の動物病院の集団訴訟では、慰謝料20万円と購入価格(物的損害)50万円が同時に認められるなどしています。カルテの開示請求だけでも、人間なら個人情報保護法を根拠にできますが、ペットの場合は、信義則を根拠にするのでそう簡単ではありません。しかし、医療ミスがなくても説明義務違反を認め慰謝料30万円、死亡していなくても重度の障害が残ったとして慰謝料20万円などの判例がでてきています。また、簡易裁判所からは複雑な訴訟は移送されてしまいますが、大きな地方裁判所では医療集中部で扱う事案が増えているようです。飼い主も治療についての知識を持って、獣医との積極的な会話をすることが、ペットを護るために求められているのです。
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